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今年もよろしくお願いします。

さて、今年一作目のssが↓下記にあります。

サイトの方に載せようと考えていたのですが、タグを一切打ち込んでいなかったのでこっちに上げます。面倒に思わずコピー&ペーストすれば(ry


・真・恋†無双の本編とは一切関係ありません。
・時系列不明
・詠はおそらく照れ隠し
・色々つっこみ所あるかもしれませんが、つっこまれても直せないから!


それでは、↓からどうぞ。

  


「正月……?」

 朝食の最中、ふと耳朶に触れた “正月” という単語に私は箸を止めた。聞き間違いでなければ、本日が正月だと聞こえたのだが。

 私の呟きのような言葉に、恋がコクリと頷いて肯定を示した。彼女の隣席に座っている音々音が問う。

「知らなかったのですか?」

 今度は私が頷く。本日が正月であること、それは全く初耳だった。

「本当なのか?」

 思わず訊いてしまった私に対し、詠が返事をくれる。

「本当。なんだったら街に出てみれば一目で分かるわよ」

「街に?」

「舞龍が見れるかもですなー」

 そう音々音は言った。

 ふむ……。舞龍というものが何なのか分からないが、見物できるものなのだろう。イベント的なものかもしれない。

「行ってこれば? 恋とねねがこいつを連れて行けばいいじゃない」

 詠の言葉に音々音が目を丸くする。

「いいのですか?」

 詠は軽く首を縦に振った。それを見ていた恋が、黙々と食べ続けていた手を止める。向かいに座する華雄へと視線を投げた。

「……華雄は?」

「残念だが、私は用がある」

 華雄の返答に付け加えるように詠が言う。

「華雄は警備の方に借り出されてるのよ」

 それを聞いた恋は少しだけ残念そうだった。音々音が訊ねる。

「料理の用意は大丈夫なのですか?」

 応じるのは月だ。柔和な笑顔を浮かべて、安心させるような声音で言葉を紡ぐ。

「大丈夫だよ、ねねちゃん。詠ちゃんがいてくれるから」

 彼女の言葉には、全幅の信頼を寄せている様子が垣間見えた。その相手である詠は頬を掻いた。

「まぁ、準備はほとんど終わってるから手は足りてるわよ」


  ◆


 目の前の光景に、おお、と私は思わず感嘆の声をあげてしまった。

 表通りは、普段の街並みとは違う様相を呈していた。

 軒先などには鮮やかな色の提灯が吊るされ、全体的に華やかさを演出している。祭りのような提灯の道を作るそれらは燈会と云われる、正月に飾るものなのだという。いつも以上に行き交う人が溢れている通りは、非常に賑やかだ。

 歩き眺めるだけでも目に楽しい。

「もう少し向こうで舞龍が行われるみたいなのです」

 隣を歩く音々音が前方を指で示す。私は小さな指の先を見てみるが、厚い人垣に遮られて見通すことができなかった。まぁ彼女が言うのならば、向こうに行けばいいのだろう。

「音々音、その舞龍とは何なのだろうか」

「銅鑼・太鼓に合わせて舞う龍の催し物なのです」

「ほう……」

 とても良い陽気の中、人波に紛れるように進んでいく。前に行けば行くほど人の数は増えた。皆、舞龍とやらを見物に来たのだろうか? 立ち止まっている者が多い。

 そんな中、音々音が足を止めたので、私も立ち止まった。

「ここなら見えそうです」

「……(コクッ)。…………(もぐもぐ)」

 恋が頷く気配と、何か食べている気配。振り向いてみれば、恋が桃饅頭を手に、もっきゅもっきゅと咀嚼していた。いつの間に購入していたのか。

 そんなことを考えていると突如、背後から轟音が響いた。

 地鳴りのように身体の芯に響くその音は銅鑼のそれだ。断続的に鳴り、そこに太鼓の乾いた音が重なる。二つの音は徐々に近づいてきていた。

 にわかに観衆がざわめき立つ。

 私は振り返り、人垣の向こう──通りの中央、わざと空けているのだろう道に目を向ける。

 そうして待っていると、姿を現したのは色鮮やかな龍だった。

 赤や金、煌びやかな装飾を施された派手な想像上の生物。長い胴を揺らしながら人の頭一つ分くらい上、宙を泳ぐ龍は、おそらく棒か何かで下から支えられているのだろう。

 銅鑼や太鼓の音に合わせ、首を振り身を捻り尾を揺らす。次いで頭を一段と高く上げ、牙まで精巧に作られた口を天へと向けた。まるで生きているかのような迫力だ。

 勇壮に舞う龍は前方を通過していき、次の場所へと向かっていった。

「あれはプロの人がやっているのだろうか」

「ぷろ?」

「む? えーと……ああいうことを生業としている人物がやっているのか?」

「違うのです」

 音々音は首を振った。幾度かの経験は積んでいるが、あれを行っているのは素人だという。

 凄いな、と正直な感想を私は口にした。

 舞を披露した龍の去った方を見遣る。と、視界の端に知っているものが見えた気がした。焦点を少し横へと移す。すると、見知った人物の顔を捉えられた。

 後ろから、音々音と恋の声が聞こえてくる。

「恋殿、まだお食べになるのですか?」

「……だめ?」

 私は振り返り、二人に告げた。ちょっと向こうに行ってくると。

 そうして踵を返し、二人から離れた。人と人の隙間を抜けていく。視界の中央に据えた白い服を目指し、雑踏を縫って歩みを進めた。

「一刀!」

 呼ぶと、白い服の少年がこちらへと振り向く。

「黒。──あけましておめでとう」

 そう言われて、私も正月の挨拶を返した。人混みの中、やっとのことで一刀の前に立つ。

「一刀も見物に来ていたのか」

「まぁ、そうだけど。俺はみんなの様子も見に来たんだ」

 みんな、とは街中の警備の任に当たっている者たちのことだという。

 なるほど。この混雑だ、人が集まれば問題が起きることもある。目を利かせ、何かが起こった時のためにと待機する誰かが必要なのだろう。

 そんな地味な役割を担う者たちがいて、ここのイベントは成り立っているのだ。

「一刀に、劉備軍の人たちのお蔭なのだな」

「いや…俺は大したことはしてないよ。力を貸してくれるみんながいるから何とかできてるだけさ」

 そう言った一刀は、不意に何か気づいたように言葉を続ける。

「と、ごめん。俺もう行かないと」

「ああ。うむ」

 こちらが返事をすると時を同じくして、 「お兄ちゃーん!」 と呼ぶ声が届いた。一刀を呼んでいるのだろう。

 一刀は、それじゃあと軽く手を振ると、声の方に去っていく。その後ろ姿を見送って、私も恋と音々音の許へと戻るため身を返した。


  ◆


「おおー、流石は月殿なのです!」

「美味しそう」

 ずらりと食卓に並ぶ料理の数々を目の前にして、音々音と恋がそれぞれ反応を示す。これは凄いな、と私も驚嘆する。

 様々な種類の料理──おかずが用意されていた。その中には餅もある。正月用なのだろうか。

 卓の下──床にいるセキトもいい匂いに気づいているようで、尻尾を大きく振っていた。

 と、台所から取り分け用の小皿を持ってきた詠がこちらに気づき、席に着くように私達を促した。


 やがて華雄も帰宅し、最後に台所から出てきた月が座る。皆で食卓を囲んでから、食事は始まった。


 私はスープを一口に運ぶ。魚の身を磨り潰してボール状にしたもの、肉団子、海老や野菜がふんだんに入っているスープは非常に身体が温まるものだった。

「華雄、徳利貸して」

 詠が言う。一人盃を傾けていた華雄は、小ぶりの徳利を手渡した。受け取った詠はそのまま、空になっていた華雄の盃に酒を注ぎ足す。

「……貴様が酌をするとは、珍しいな」

「そうね、けど労う気持ちもあるのよ。……お疲れ様」

 詠の言葉に、ふ、と華雄は笑みを零した。礼を述べて、酒で満たされた盃をあおる。

 恋は黙々と食べ進めていた。

「あむ…」

 春巻きを摘んだ後に焼き鳥を食べる。咀嚼し、飲み込む、それだけの食事風景が何とも言えない和みを与える。

「はむ……もぐもぐ」

 目の前の料理に夢中になっている様子も可愛らしさを引き立てていた。そんな彼女の隣では音々音が、足元ではセキトが食事をしている。

 スープを飲み干した私は、次なる一品を小皿に載せた。

 その団子を箸で取り、口に入れる。噛むと、柔らかいもち米の中身──餡 (胡麻餡だろうか?) の甘味が舌の上に広がった。

「──美味い」

 中身の餡と外側の餅が馴染んでおり、互いに美味しさを高め合っているかのようだ。

「それ、詠ちゃんが作ったんだよ」

 月の嬉しそうな声に、私は顔を向ける。

 ほう、詠の手作りだったのか。とても良い出来だと思う。詠に視線を投げると、彼女は意外そうに目を丸くしていて────しかし、すぐに微妙に不機嫌そうな表情になった。

「……あんたも作ったものがあるでしょ」

「?」

「うん、黒ちゃんも手伝ってくれたものがあるよ」

「……? 私が?」

 覚えがない。だいたい今日はほとんど外出し、正月模様の街中を眺めて回ったのだ。そんな余裕はなかった。

「餃子の皮」

「…………」

 月に言われて、私は視線を卓上に滑らせる。

 そうして発見した水餃子。美味しそうなそれを見つめてから、思い出した。そういえば先日、月と共に皮を作った。まぁ、手伝い程度だったのだが。

 と、不意に箸が伸びてきて、水餃子を一つ取っていった。それを目で追えば、詠がぱくりと水餃子を食べるところだった。

「……うまく出来るわよ」

 水餃子を飲み込み、詠はぶっきら棒に言う。隣では、月が微笑ましそうに笑っていた。

「確かに。美味いぞ、黒」

「……(コクコクッ。…もぐもぐ)」

「上出来ですな。月殿の料理も美味しいですー」

「わんっ」

 華雄、恋、音々音に続けて、まるで同意を示すように下からセキトが吠えた。


  ◆


 ふと、傍に誰かが立った気配に気づく。その方向へと、夜空を見上げていた私が振り向く前に、誰かはこちらに身を寄せてきた。

 掌が、私の白黒の獣毛を撫でる。

 ──恋?

「……あったかい」

 ぽふ、と私の頭の上に顎を乗せて、恋が呟いた。確かに今日はとても冷えている夜だ。私はともかく、恋は風邪をひいてしまうかもしれない。

「平気」

 一言。恋は白い息を吐きながら、私の目の前に赤色の小さな包みを差し出した。

「……これ、黒に」

 渡されて、口の端に引っ掛けるようにして受け取る。

 封筒を小さくしたような、そう厚くない包みだが、いったい何なのだろう。そう考えて、予想として似たようなものが頭に浮かんだ。正月に、こんな袋があったはずだ────そう、お年玉だ。

 それを確かめるために恋に訊ねれば、予想が当たっていることが分かった。

 しかし、ということは子ども扱いなのだろうか。少々複雑な気持ちである。まぁ受け取ってしまったので、感謝を伝えておくべきだろう。加えて、新年らしいことも言っておこう。

 ありがとう、恋。
 今年も、これからもよろしくお願いする。

「ん」

 恋は小さく頷いた。

「よろしく、黒」


  
2010.01.01 Fri l SSネタ l COM(0) TB(0) l top ▲

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