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尺の問題で朝のシーンのみ。
当時はいろいろ制限の中で書いていた、記憶は薄れてよく覚えてないけど。
 共同生活2日目 : 誤解、だけど現行犯逮捕


 声と音の二つに、高村恭司の意識は睡眠という名の海から浮上した。

「……朝、か」

 昨夜の酒のせいで重い頭を恭司は決死の思いで覚醒させ、半身を起き上がらせた。静かに、目を開く。
 見えた部屋は、見慣れぬ部屋だった。

(……あぁ、昨日から……。そうだった、一緒に女子寮の隣に住んで……)

 寝起きで頭がスッキリしていない状態。

 恭司はぼんやりとしたまま、軽く辺りを見回した。
 なつきとミコトは、まだ寝ている。舞衣と碧の姿を捜して視線を動かすと、キッチンの方に二人の後ろ姿を見つけた。

「……朝食……」

 二人が朝食を作っていることを認識してから、恭司はいい香りが漂ってきていることに気づいた。

「ん~……」

 ようやく本当に覚醒してきた意識。恭司は腕を天井に向けて伸ばし、脱力させて、眼鏡を手に取る。かけて、ベッドから降りた。
 顔を洗った後、キッチンの方へ行くと、碧が気づく。振り返った彼女はエプロンを身につけていた。

「グッモーニン、恭司くん」

 朝早いというのに、碧の笑顔は太陽のように明るく眩しいものだった。声も弾んでいる。

「おはよう、恭司さん」

 碧と同じくエプロンをつけてキッチンに立っている舞衣は、手を休めることなく挨拶した。

「おはようございます、碧先生。おはよう、舞衣」

 二人には負けるが、恭司も明るい笑顔で返す。
 と、碧が恭司の眼鏡をひょいと取った。

「恭司くん。眼鏡取ると可愛さ増すんだからさ、今日一日、眼鏡無しってことでどうかな?」
「駄目ですよ。俺、眼鏡ないと殆ど見えないんですから」

 恭司はそう言いながら、碧から眼鏡を取り返した。そして、かけ直す。ぼやけていた視界が鮮明なものに戻った。

「碧ちゃん、ちょっと手伝って」
「ん、オーケイ。正義の味方が力を貸すよー」

 楽しそうに料理をする二人。手持ち無沙汰な恭司は 「何か手伝うことないか?」 と声をかけた。

「こっちは大丈夫だから。恭司さん、なつきとミコト起こしてきてくれる?」
「おう、まかせろ」

 恭司は答えると、踵を返した。まな板をトントンと叩く包丁の心地いい音を背中に受けながら、ベッドの方へと歩いていく。

「ミコト、朝だぞ~」

 まずは、位置的に近かったミコトから起こしにかかる。すごい寝相のミコトは、幸せそうな顔をして毛布を抱き枕にしていた。

「早く起きないと、ミコトの朝ごはんは俺が食べることに――」

 瞬間、ミコトが文字通り飛び起きた。

「ダメだ! 私は食べるぞ!」

 軽やかに跳んでしなやかに着地したミコトは、瞬時に覚醒したらしく、元気いっぱい言い放った。

「よし、じゃあその前に手を洗わないとな」

 恭司の言葉に、ミコトは 「ん」 と声を出すと、手を洗いに走っていった。その小さな後ろ姿を見送ると、

「さて」

 恭司は起こすべき次の人物に視線を向ける。その先では、なつきが可愛い顔をさらして寝入っていた。
 恭司はベッドへと近寄り、無難に、

「なつき、朝だぞ」

 声をかけるが、答えは返ってこなかった。特に反応もない。ミコトと同じ方法で起きるとも思えず、恭司はなつきの身体を揺する。

「なつきー、朝だ学校だ。今日は平日なんだからいい加減に起き――」

 刹那、恭司は妙な感覚を味わった。
 ぐるりと、回転。腕を掴まれて引っ張られる。宙に飛んだと思ったら腰を蹴られ、また回転。目まぐるしく視界が回り――

 ――気づけば、ベッドの上で、何故かなつきの下にいた。

「☆×△#!!?」

 恭司に、なつきの顔が、すぐそこに迫っていた。密着した柔らかい体、温かい体温。髪からは、シャンプーの香りがする。
 心臓がドキドキどころかバクバクいっていた。

(まっマズイ。とにかく出ないと! というか、なつきはどうして起きてないんだ~!?)

 恭司は慌ててなつきの下から出ようとするが……不用意に彼女の身体に触れない上に、密着しているので動きにくい。

「なつき、ちょっと……」

 何とか顔を離すことに成功して、恭司は確保された視界になつきの顔を収める。と、ついでに、他の人物の顔も見えた。

「恭司くん……? 何をしてるの……?」

 額に青筋を浮かべた碧を、恭司は初めて見た。怒っているのに笑顔なのが、よけい恐い。

「恭司さん……」

 碧の隣にいる舞衣も、怒りを露わにしていた。


 そして、朝から騒がしいものとなった。恭司は誤解を解くために、一時間あまりの時間を要した。因みに、なつきは騒ぎの最中も起きることはなかった。


続く。
2008.10.03 Fri l SSネタ l COM(0) TB(0) l top ▲

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